その水溜りの深さは

ロングスリーパー

廊下の電球が切れていたことに気が付いてから、約一か月近くが経つ。

どうせ寝るときには使わないんだし、日中に家にいることなんてほとんどないんだから、いっそこのままでもいいやと思えてきた。

几帳面な人やしっかり者なら気が付いた次の日の仕事帰りにでもスーパーに立ち寄り、替えの電球を補充した後に手際よく交換するんだろうな。

そのどちらにも該当しない俺の部屋はお察しの通り、常に散らかっている。いや、散らかっているなんて可愛いもんじゃない。

今日も明かりのない廊下をスマホのライトを頼りに進んでいくと、自分の部屋ながら何か事件が起きたんじゃないか心配になるほどだ。脱ぎっぱなしの服や缶ビールの空き缶は、それぞれがその時から時間が止まっているように思えてくる。

セーブデータが1つのファイルに上書き保存されているのではなく、バラバラになって保存されているような状態だ。だからこの部屋はワンルームだけれど、この空間自体はバラバラである。

そういえば昨日も仕事着のままリビングの電気もつけっぱなしで寝てしまった。

その時の俺もそこらに転がる空き缶と一緒だったんだろうか。

そうなってしまうのが毎日の仕事疲れなのか、無理して夜更かししているせいなのか、退職の話をボスに打ち明けたせいなのかは分からない。まあ多分全部なんだろうけど。

 

若しくは、今まで口だけ達者だった自分が溜め込んだツケなのかもしれない。

実際のゲーム機は動かないままだとスリープモードになってその活動を停止する。

俺はずっと眠っていたんだろうか。

 

ならまだいけるよな。

 

※部屋が汚いのと明日からも頑張ろうって話です。