その水溜りの深さは

ダイヤモンド

BUMP OF CHICKENを聴いたことがことがある人がどのぐらいなのかは分からないけど、俺の周りには多い方だと思ってる。

かくいう俺も中学生の頃はBUMP、RADを聴いていた。通過儀礼のようなものだろう。

失恋した時に遠恋を聴きながら枕を濡らしたこともあるし、中2の合唱コンクールで歌う曲に車輪の唄を提案したこともある。(却下されました...)

その頃はまだ自分がバンドをするなんて夢物語だったな...

ともかくその当時、俺はBUMP OF CHICKENを聴いていた。それは紛れもない事実なのだ。しかし、俺のBUMPer歴はここで一旦、幕を下ろすことになる。

きっかけは高校時代に知り合った一人の友人だった。

「べらぼうにかっこいいバンドがあるから聴いてみな」

そう言われて渡されたウォークマンから流れていたのが、ミッシェルガンエレファントのスモーキンビリーだった。

何これ...超かっこいいじゃん...

チバユウスケの他に類を見ないしゃがれ声にアベフトシのカッティング、ウエノの荒々しいベースやキュウの力強いエイトビート…その全てが新鮮だった。

俺はたちまちその轟音の虜になった。と同時に、受けるべきではない教育も受けてしまった。

俺にミッシェルを教えてくれたソイツは同時にこうも言っていた。

エルレバンプ、ラッドなんて聞いてるやつはダサいぜ」

 

当時の俺は全てを否定されたような気になりながらも、言い返すことが出来なかった。だって超カッコいいもん、ミッシェル。

それにカラオケでWeezerを歌っていたソイツはやけに大人に見えた。なんだか悔しかったのを今でも覚えている。

ちなみに少し前、その彼からレゲエのイベントに誘われた。人って変わるもんだなあ。

 

それから約10年、俺は今BUMP OF CHICKENを聴いている。

最初は懐かしさからだった。大学時代に世話になった大好きな先輩が歌っていたのを思い出したのがきっかけだった。

「ダイヤモンド」を聴いた瞬間、自然と涙が出てきた。

一度は離れた俺を、まるで古い友人のように迎えてくれるような気がした。

BUMPよ。俺を許してくれるというのか。

おおBUMPよ、まだ俺の背中を支えてくれるというのか。

 

なら俺はまだ前に進めるだろうか、きっと進める。なんかそんな気がする。

 

何回転んだっていいさ。

擦りむいた傷をちゃんと見てやるぜ。